私は、ふわふわと浮かぶ雲の上に立っていました。周りは淡い紫色と青色が混ざり合う、不思議な光に包まれています。
「どこに来てしまったのかしら?」と、私は周りを見回しました。すると、遠くから柔らかな鈴の音が聞こえてきました。チリンチリン、チリンチリン。その音に導かれるように、私は歩き始めました。
雲の道を歩いていくと、きらきらと星が散りばめられた深紫色のテントが見えてきました。テントの入り口には、金色の月と銀色の星が描かれた布が揺れています。
「いらっしゃい、あなたをお待ちしていました」
中から優しい声が聞こえてきました。私は恐る恐るテントの中に入ってみました。
そこには、長い銀色の髪を持つ美しい占い師が座っていました。彼女は星空のような深い青色のローブを纏い、首には水晶のペンダントを下げています。目の前には、キラキラと光る水晶球が置かれていました。
「さあ、どうぞお座りなさい」と占い師は微笑みながら言いました。私は、クッションが置かれた椅子に腰を下ろしました。
「あなたの心の中には、たくさんの星が輝いているわね」占い師は水晶球をそっと撫でながら話し始めました。「でも、その星たちは今、少し迷子になっているみたい」
私は驚きました。確かに最近、自分の進むべき道に迷いを感じていたのです。
「恐れることはありません」占い師は優しく続けました。「星たちは必ず道を見つけます。ただし、そのためには自分の心の声に耳を傾ける必要があります」
占い師は机の引き出しから、小さな宝石箱を取り出しました。箱を開けると、中から七色に輝く小さな星の欠片が現れました。
「これは、あなたの夢の欠片です。大切にしまっておきましょう」占い師は星の欠片を私の手のひらに乗せました。温かくて、心地よい光が手のひらから広がっていきます。
「夢は、時として私たちを不思議な場所へ連れて行ってくれます。でも、それは決して偶然ではありません。今のあなたに必要なメッセージがあるから、この場所に導かれたのです」
占い師は立ち上がり、テントの天井に向かって手をかざしました。すると、天井一面に星空が広がりました。まるで本物の夜空のように、無数の星が瞬いています。
「見てごらんなさい。あの星座たちを」占い師は空を指さしました。「あなたの人生も、あの星座のように、一つ一つの点が繋がってストーリーになっていくのです」
私は星空を見上げながら、深い感動に包まれました。確かに、今まで経験してきたことは、どれも無駄ではなかったような気がします。
「さあ、これをお持ちなさい」占い師は、小さな星型のペンダントを私に手渡しました。「迷った時は、このペンダントを見てください。きっと、あなたの心が正しい方向を教えてくれるはずです」
ペンダントを受け取った瞬間、テント全体が優しい光に包まれ始めました。
「もう行かなければならない時間のようね」占い師は穏やかな笑顔を浮かべました。「でも覚えていてください。あなたは決して一人ではありません。星たちがいつもあなたを見守っているのですから」
光が強くなり、私の視界がぼやけていきます。最後に占い師が言った言葉が、やさしく耳に残りました。
「自分を信じてください。あなたの中には、素晴らしい可能性が眠っているのですから」
目が覚めると、私は自分のベッドの上にいました。不思議な夢だったけれど、心はとても温かく、希望に満ちていました。枕元を見ると、小さな星型のペンダントが置かれていました。
それは夢だったのでしょうか?それとも本当に占い師に会いに行ったのでしょうか?答えは分かりません。でも、一つだけ確かなことがあります。この夢は、私に大切なことを教えてくれたのです。
自分の心の声に耳を傾けること。
夢を大切にすること。
そして何より、自分を信じること。
それは、星空のように美しく、永遠に輝き続ける真実なのです。
その日から、私は時々あの占い師のことを思い出します。迷いそうになった時は、星型のペンダントを握りしめ、彼女の言葉を思い出すのです。すると不思議と、進むべき道が見えてくるような気がします。
私たちの人生は、夜空の星のように、時には明るく、時には少し薄暗く輝きます。でも、それぞれの輝きが、かけがえのない物語を紡いでいくのです。
今日も窓の外には、美しい星空が広がっています。きっとあの占い師も、どこかで誰かの夢の中へ、そっと訪れているのかもしれません。